ハリス・ツイードのスポーツ・コートを着た時、その上に着るアウターウエアは、本来不要なのかも知れません。
でも、どうしても重ね着したい時って、ありますよね?(笑)
そういう時に出番となるのが、私の場合、オイルドクロス・ジャケットかマウンテン・パーカであります。

マウンテン・パーカ SIERRA DESIGNS 60/40
スポーツ・コート Brooks Brothers(Harris Tweed)
コットン・ウール・シャツ TWEEDMATH
ウール・タイ Brooks Brothers
チーノーズ TOYS McCOY
靴 見えないけれど、AldenタンカーOXです。(笑)



マウンテン・パーカのルーツを遡れば、エスキモーの着る毛皮製のフード付き防寒着になるのだと思います。
この防寒着を、グリーンランド系のエスキモーは「アノラック」、アリューシャン列島に住むエスキモーは「パーカ」と称したようですが、これらの名称は後に、フード付きの防寒・防風用ジャケットの総称となりました。
日本では、「ビント・ヤッケ」「ウィンド・ヤッケ」という呼び方の方が、馴染みあるかも知れません。
マウンテン・パーカに関しますと、その原型となったものは、ヨーロッパ系の防風衣の「アノラック」「パーカ」「ウィンド・ヤッケ」だったのでしょうね。
そして、本来プルオーバーだったものを、アメリカ人が合理主義精神に基づき、アメリカ的に作りかえたもの、すなわち、前開きにアレンジしたのもが、マウンテン・パーカだと言えます。

「TAKE IVY」より
1965年、アメリカ・カリフォルニア州で、ジョージ・マークスとボブ・スワンソンの2人の青年により誕生したシエラ・デザインズ(SIERRA DESIGNS)が、よこ糸にコットン58%、たて糸にナイロン42%という混紡比率をもつ、60/40素材のマウンテン・パーカを発表したのは、1968年。
ちなみに、この生地自体を開発したのは、アーサー・カーン社らしいです。

George Marks(右)とBob Swanson(左)
日本でも1970年代に入り、所謂「ヘビーデューティー」スタイルがジワジワ広がって来て、シエラ60/40マウンテン・パーカも、1975年に正式な発売開始がされます。

ところで・・・
映画「ディア・ハンター(The Deer Hunter)」(1978年)で、ロバート・デ・ニーロが着ていたマンテン・パーカは、米コロラドのアウトドア・ブランド、ホルバー・マウンテニアリング(Holubar Mountaineering)製だという説があるようです。
しかし、ディテールをチェックすればするほど、やっぱ、シエラ・デザインズやろ〜、と私には思えるのです。
昔のホルバー製のマンテン・パーカで、ロバート・デ・ニーロが着ていたタイプのもを、まだ見たコトがないもんで、現段階では結論は保留にしております。(笑)

さて、このマウンテン・パーカ、そもそもは、アウトドア・ライフ用に作られたものであり、寒暖に応じて下に着るものを調節するという具合に、レイヤードを考えて着るものでした。
つまり、ダウン・ベストやダウン・セーターを組み合せるのが普通だったので、着膨れするコトを前提に、十分ゆとりのあるサイズを選ぶ必要があったのです。
70年代後半から80年代前半、このマウンテン・パーカ、日本でも、めっちゃ流行ったのですが、最近、街で見かけるお兄ちゃん達が着ているマウンテン・パーカは、その頃のものに比べ、着丈も短く、タイトなシルエットなんですよね。
かつて、似非(えせ)アウトドア青年だった私に言わせれば、邪道ですね。邪道。(笑)
機能に裏付けられたカタチには、すべて理由があり、無駄がないものなのです。
まず、それを味わうべし。(笑)