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2013年 04月 02日 ( 1 )
黒い壁
私の住む大阪泉州地方の、古い民家の特徴的なものの一つに、「黒い色をした壁」があります。

この「黒い壁」の正体は、石灰と土をブレンドした、所謂「大津壁」仕上げの表面に、「墨」をノロと混ぜて薄く塗ったものです。

したがって、「鼠漆喰」でも「黒漆喰」仕上げでもありません。

何故かこのコト、古民家再生を専門とする建築家の方も、ご存知ない。

フィールドワークすれば、すぐ気付くコトなんですがね。(苦笑)

泉州地方の民家の様式については、素人ではありますが、私なりに、かなり調べたコトがあります。

しかし、どうして、この「黒い色をした壁」が定着したのかは、未だに理由がわかりません。



十数年前、私はこの「黒い壁」を再現すべく、「墨」についても調べたコトがありました。(笑)

伝統的製法による「墨」には、菜種、胡麻などの液体油を燃やして採った「煤」でつくられる「油煙墨(ゆえんずみ)」と、松材を燃やして採った「煤」でつくられる「松煙墨(しょうえんずみ)」の二種類があります。

両者は質が違い、それぞれに特色があるのですが、歴史が古いのは「松煙墨」の方であり、現在、入手困難なのも「松煙墨」です。

この「煤煙(ばいえん)」に「膠(にかわ)」(炭素粒子を水に溶かす仲介をする)と香料を混ぜたものが「墨」になるのですが、現代の大量生産の時代とともに、「墨」の原料である「煤煙」は「カーボンブラック」に、「膠」の代わりに「合成樹脂」が、原料と変わっていきました。

「煤煙」とりわけ「松煙」は、作るまで無茶苦茶手間暇がかかり、「膠」は独特の悪臭や低温に対する弱さ(固まる)があり、それぞれ前述の材料に座を奪われた経緯があります。

で、伝統的製法と現代の製法、両者の「墨」としての色合いの違い、あるのでしょうか?

ハイ、「味わい」が決定的に異なります。(笑)

習字されている方は、お詳しいのではないでしょうか?



ところで、「松煙墨」による「黒い壁」再現実験をやってみて分かったコトですが、建築家屋の類いに使用するには、高価過ぎますね。

多分、次回する時は、「油煙墨」を使うかも知れません。(笑)

しかし、十数年前の「黒い壁」再現実験の時にお世話になった、「墨工房紀州松煙」(http://www.kishu-shoen.com/)の堀池さんから、今でも年賀状が届くんですよね・・・。(笑)
by yabushun | 2013-04-02 08:33 | ARCHITECTURE | Comments(0)