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WE 8、9、10アンプ
1920年にアメリカでは世界最初のラジオ放送局(KDKA)が開局され、AM放送が始まります。

音の振動を電気信号に変換し増幅する増幅素子「真空管」が、リー・ド・フォレストの特許(1906年発明の3極真空管)のもと、Western Electric社(以下「WE」と記載)によって実用化され、それは可能となったのです。

一方で、この真空管を利用することにより、多くの人たちに情報を伝達するパブリック・アドレス(PA)も可能となり、そのためのアンプやスピーカーも開発されました。



極めて大規模なPAシステムが採用されたのは、1921年3月4日、首都ワシントンで開催された、第29代アメリカ合衆国大統領ウォーレン・ハーディングの就任式の時でした。

演説会には13万5千人が集まっています。
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1921年3月4日 アメリカ大統領就任式
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国議会議事堂前、植栽に見えるのは聴衆で、点線はPAカバーエリアを示しています。



同年11月11日(第1次大戦休戦結記念日)には、バージニア州アーリントンの無名戦士の墓での演説会に10万人が集まり、大統領の演説と音楽の演奏を聴きました。
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この模様は、電話回線を使って東西海岸都市に同時中継され、ニューヨークで3万6千人、サンフランシスコで1万6千人の聴衆が、屋内・屋外で耳を傾けることとなります。
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1921年11月11日 NY マディソン・スクエア・ガーデン
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会場に備え付けられたラウドスピーカー(バランスト・アーマチュア型レシーヴァーを使用)

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1921年11月11日 SF シビック・オーディトリウム



これらの大規模な演説会のPAシステム用は、全てWEの機材によるものでした。

使われたアンプは、8-A、9-A、10-A、および11-Aでした。
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上から、516-Bコントロール・パネル、B-10-Aアンプ、9-Aアンプ、8-Cアンプ、515-Aメーター・パネル。



このWE 8、9、10アンプは、1926年から運用が開始される「ヴァイタフォン」と名づけられたトーキー用サウンドシステムのアンプ部としても活躍することとなります。

つまり、開発前から考え抜かれて設計され、満を持して登場したアンプだったのです。

WE業務用アンプの原点でありながら、これ以降作られた如何なるアンプも比較にならないほど物量投入がされた、言わば、贅を尽くしたアンプでもありました。
by yabushun | 2015-12-30 00:45 | AUDIO | Comments(0)
WE 18A オートトランス
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Western Electric 18Aオートトランスをゲ~ット!

何が嬉しいかって申しますと、これをWE 7Aオートトランスの代わりに使うコトにより、遂にWE TA-7257と同じ回路のネットワークを作れるようになったのです。



劇場用装置として沢山使われたと言えども、ネットワークはスピーカーやアンプより故障頻度が低く、そんなに生産されなかったように思われます。

したがって、WEのTA-7257ネットワークぐらい古物になると、現存するタマ数が圧倒的に少なくなり、あっても希少性故に、信じ難い価格になっていて手が出せませんでした。



TA-7257ネットワークは簡単な回路と少ないパーツで構成されていますが、色々なノウハウが詰まっています。

その最たるものが、7Aオートトランスを使ったLC共振回路で中域用555レシーバーの低域をカット(300Hz 6dB/oct)するというユニークな手法です。

例えば、オートトランスを使わずにコンデンサーで低域カットするとなると、直列に約40μF以上が入ることになってしまい、そりゃ~もう、ボケボケの音になるコト必至です。

加えて、質的なコトを考えると、使えるオートトランスだったら何処のでも良いと言う訳にも、これが参りません。(笑)

だから「トランスが肝だ。このトランスさえ入手出来れば何とかなるぜ」と、何年も探し続けていたのです。




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WE 41、42、43アンプ・システムで、アンプ終段とスピーカーの間に入り、ヴォリュウム・コントロールとインピーダンス変換を行っていたWE 200-Aパネル(一番上の「OUTPUT CONTROL PANEL」と表記された部分)
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200-Aパネルの裏側。ここでも左端に見える7Aオートトランスによってインピーダンス整合が行われていました。




TA-7257ネットワークに組み込まれている7Aトランスはパーマロイ・コア(容量7W)なのですが、入手した18Aは純鉄コア(容量40W)で、7Aよりワイドレンジと言われているものです。

共にWEを代表する銘トランスであるコトに変わりありません。

ヴィンテージ・オーディオ店での相場はペアで60万円ぐらいなのですが、この度格安で入手するコトが出来ました。

まぁ、人生、たまにはこういうコトもありますわ。(笑)

「安く入手出来たコトをやたら強調してるが、じゃあ、一体幾らしたの?」

と妻から質問されちゃいましたが、こういう時は聞こえなかったフリ、これが基本的姿勢です。(笑)



ちなみに、WEには19Aというオートトランスもあり、これは18Aの3倍もの大きさで、重量15kg/個、容量200Wという化け物らしいです。

私は写真ですら見たコトがありません。
by yabushun | 2015-12-25 07:19 | AUDIO | Comments(0)