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ダッフル・コート
ダッフルコートって、日本では何故か「受験生」や「ええとこのボン」を連想させるようですが、それはイギリスの名門イートン小学校の制服にも採用されたという、スクールウェアのイメージがあるからなのでしょうか?
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ダッフルコートが登場する映画をあげれば、まず思い浮かぶのが、49年「第三の男」のなかでのトレバー・ハワード扮するイギリス軍将校で、ダッフルコートにベレー帽姿で登場していました。

これは有名なモンゴメリー将軍のスタイルに似ております。

一説によれば、モンゴメリー将軍のコートは、1940年のダンケルク(仏北部の港町。ベルギーとの国境に近い)から撤退の際に地元の漁師から贈られたもので、彼は、その淡褐色のコートの下にタートルネックのセーターと農民が穿くようなよれよれのコーデュロイのパンツを着て、ベレー帽を被り、およそイギリス軍人らしからぬ型破りなスタイルで有名になったようです。
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強く印象に残っていると言えば、61年「ナバロンの要塞」です。

連合軍士官に扮するグレグリー・ペックとデビッド・ニーブンが、ラストシーンの船上のデッキで、毛布のような(ぬくそうな、しかし重そうな)ミリタリー仕様のダッフルコートを着てました。

ちなみに、ダッフルコートは、その防寒性能と機能性から、二度の世界大戦で英国海軍に正式採用されていて、下士官と士官で、キャメルとホワイトもしくはネイビーと、色分けされていたらしいです。
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          グローバーオール社広告
      モデルは創設者ハロルド・モリスとその息子


戦後、無骨でタフな防寒具であったダッフルコートは放出品として一般に出回り、50年代に入りイギリスのグローバーオール社により実用的な商品開発がなされ、イギリス調のトラディショナルなコートになってゆきます。
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ダッフル人気に拍車をかけたと思われるのが、71年「愛の狩人」のアート・ガーファンクルのキャメル・カラー、ジャック・ニコルソンのネイビー・カラーのダッフルコートでしょう。

この典型的IVYスタイルこそが、ダッフルコートに対する大半の人々のイメージに、最も近いのではないでしょうか。

もう少し、ダッフルコートについて掘り下げてみるため、以下、堀洋一監修「男の服飾辞典」より引用してみます。



『ダッフルコートの「ダッフル」とは、もともとが織物の名前であり、いわゆる「厚手玉絨」に属する、毛羽立った紡毛織物の一種をいう。
名前はこの織物の原産地たる、ベルギーの一都市アントワープ近郊の地名「Duffel」にちなみ、その登場は1677年のこととされている。
この織物はその後、18世紀頃から欧米諸国に輸出され、これをフランスでは「モルトン」、ドイツでは「ディフェル」と称した。
ダッフルはほかに、キャンプ用毛布などの意もあるらしいが、いずれにせよ、厚手の粗羅紗を指している点では共通している。
この布地で作った防寒衣、ダッフルコートの起源についてはいくつかの異説が伝えられている。
その最も代表的なものとして、北欧ノルウェーの漁師の仕事着に起源をおいたものがあり、同じく漁師の仕事着に起源を求めるものとしては、アイルランドのそれもかなり知られた通説になっている。
またオーストリアはチロル地方の農夫の作業着をオリジンとした説もあれば、フランドル地方(旧フランドル伯領を中心とする、オランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にかけての地域)の羊飼いの防寒外套をもととする起源説もある。
いずれの説が正しいかは別にして、はっきりしているのはそれが1684年に登場し、最初は例外なく生成色(オフホワイト)のダッフル地で作られていたということである。
そしてこれらのいずれもが、労働者の作業用防寒衣に端を発したものであったということ。
少なくとも宮廷や、社交界のニューモードとして生まれたものでないことだけは、確かである。
一般市民のおしゃれ用として広く着られだしたのは、通説によれば、それは今次大戦以後になってからのこと。
すなわち、第二次世界大戦中、イギリス海軍が北海勤務(警備隊)向けの防寒着にこれを採用し、それが戦後「放出品」として一般に出回って以来で、このコートが別に「W.W・2・ブリテッシュ・ショートウォーマー」とか「コンボイ・コート」とか、「モントゴメリー・コート」とかと称される所以である。』



オリジンがオフホワイトであったというのは興味深い話ですが、基本的に仕事着であったダッフルコートは、男臭く着るのが理にかなっているのでしょうね。

そう言う訳で、ダッフル羽織るなら、たまに目撃するビジネス・スーツの上からではなく、ブレザーやツィード・ジャケットの上が無難ではないでしょうか。
by yabushun | 2009-12-25 23:24 | OVERCOATS | Comments(0)
ウエスト・コート
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「ベスト」は、上着を脱いだとき、シャツ姿を避けるのが本来の役割で、つまり、シャツやサスペンダーは下着として考えられているわけです。

スーツにベストを着ないことが多くなった時代という背景もあるのでしょうが、近年のアメリカの映画やドラマを観てると、彼等はオフィス内で結構平気に上着を脱いでサスペンダーを見せてるんですよね。

別の言い方すれば、サスペンダー使用率が意外と高いのかな?

サスペンダーを見せる是非については別にして、スラックスのラインをきれいに見せるのは、ベルトより断然サスペンダーであることは確かです。



さて、話を「ベスト」に戻して・・

「ベスト」という呼び方は、1666年、イギリス国王チャールズ二世が着込んだ胴着を「ベスト」と呼んだのがはじまりといわれております。

この頃のベストにはまだ袖がついていて、しばらしくして袖が切り落とされ、今日のベストの原型に近づいていったようです。

袖がなくなったベストを、イギリスでは「ウエストコート」、フランスでは「ジレ」という呼び、日本で使われている「チョッキ」は、ポルトガル語の「ジャッケ(上着の意味)」がなまったもので、当字に「直着」が使われたようであります。



現代のベストは、19世紀イギリスの郵便配達人が着ていたウエストコートを起源とするらしく、故に保温を目的としたものでした。

このスタイルを模したウエストコートが、のちに「ポストボーイ・ウエストコート」の名で広く知られるようになり、イギリス本国でよりもアメリカ東部で好んで着られるようになり、主として1930年代末頃まで着用されたと伝えられております。



と、ここ迄を予備知識として、次回へ。
by yabushun | 2009-12-12 05:32 | CLOTHING | Comments(0)