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Brooks English その5 後編
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Brooks Brothers社(以下BBと略す)は、20世紀のほとんどの期間を通じて、1802年創業の名門注文靴店であるPeal & co.と独占的ライセンス契約を結んでいました。
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            1936年の広告

そして、1965年にPeal社が廃業する際、商号、木型、パターン等を買い取り、その後、BBのBrooks Englishシリーズに、Peal & co.名義の既製靴ラインを加わえることとなります。
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          Peal社からBBへの礼状

そのPeal名義の既製靴を、あのEdward Green社(以下「EG」と略す)が製造していた時期があります。

しかし、このEG製Pealは、1990年代中期以降、EGがエルメスに工場を売却することによりなくなります。
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EGは、木型もすべてエルメスに押さえられ、 202ラストも使用不可能となり、靴の製作をCrockett & Jones社(以下「C&J」と略す)やGRENSONに依頼した時期があります。

そんな事情もあってBBがPealラインのOEM先をC&Jに変え、それまではBrooks EnglishシリーズにC&J製のものはないと勝手に思い込んでおりました。

しかし、kenaoki様に1982年時点で既にC&J製Brooks Englishがあったというご指摘を受け、「団の面目丸潰れ(花の応援団)」になったのは、ブログ読者の記憶に新しいのではないでしょうか。(笑)
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さて、このEG製Pealは、EGの旧工場モノということもあり、未だに探しまわっている方も多いようですが、私は非常にお世話になった方から頂戴しました。
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           パーフォレーション
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   最近の真っ平らなソールの靴と違い、R具合が凄いです。
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           ヒールの釘のパターン
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         ウエイストの絞り込み
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既成靴にも拘らず、ベベルドウェストやピッチドヒールといったビスポークの意匠が取り入れられています。

手に取って眺めれば、何処からどう見ても、並の既製靴とは一線を画した作りであることが分かります。
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ラストは202。

PealネームでBBが販売していましたが、BB直ネームのEGもあったようですよ!
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           1991年カタログより
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アラン・フラッサーが「MAKING THE MAN/男の服装学」(1981年、日本語版1983年)のBB本店紹介の中で、Pealのキャップトゥ・オックスフォード(275ドル)の素晴らしさについて触れています。

為替レートと貨幣価値を勘案すると、関税等を考慮しないでも現在の10万円以上の代物になるので、そのPeal、恐らくEG製だったと推測します。どないでしょ?(笑)
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      これは以前にアップした1960年代の広告
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一番下のPealを拡大。このフルブローグ、パターンが同じですね。
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これは1940年代のBBのクオーターブローグ。

BBが取得する前のPeal & co.製と思われますが、美しいですね。
by yabushun | 2012-01-02 17:57 | SHOES | Comments(14)
Commented by kenaoki at 2012-01-03 21:03 x
これについてはAlan McAfee説もないではないのですが、私は作風とフラッサーのコメントから旧EGだったろうと考えています。

Commented by yabushun at 2012-01-03 21:30
貴重なコメント有り難うございます。
なるほど、Alan McAfee説ですか。それはそれで説得力がありますね。
Commented by kenaoki at 2012-01-04 03:05 x
Peal & CoがViennaとParisはわかるのですが、ベルギーの二都市BrusselsとOstendeまで足を延ばしていたとは興味深いものがあり
ますね。私も旧EGのPealは何足か持っていますが、借金してでも全部買っておけばよかった... Alan McAfeeの作風は穴飾りも大きめで、男らしい力強さが特徴のように思われていますが、この写真のような繊細なフルブローグも出来たのです。1980年代初めにビームスFのチャーチ別注は素晴らしかったですよ。
Commented by kenaoki at 2012-01-04 03:17 x
それにしてもかつての、遥か昔のBBには才能溢れる人材が沢山いたということですね。所詮、組織とはいかに優秀な人間を採用して育てて行けるのかと云うことであり、従って人事の責任者は最も優れた人材がなるべきなのです。
Commented by yabushun at 2012-01-04 10:24
ちょっと調べながら書く時は、いつもkenaoki様の暗黙のプレッシャーを感じます。
何処から攻めて来られるか全く予想出来ませんし、適当なコト書いたら怒られそうだし、何で私がこんなリスクのある役回りをしなければならないのだと。(笑)

ということで、ちょっとリラックス致しまして・・・

ビームスさんって、意欲的な仕事をされていたんですね。
多少、昔を知る者としては、こんな大きな会社になるなんて、夢にも思いませんでした。

昔々のBBに関してですが、聞いた話によると、とあるメーカーのバイヤーがファクトリーを訊ね歩いていたら、大概の所がBBが来た後だったと。
まるで、自民党が選挙候補者を探して行くと、行くとこ全て小沢一郎の後だった、みたいな話で。(笑)

靴に関しては木型いっぱい持ってるんですから、アングロサクソンではありませんが、例えばVASSなんかに作ってもらどうだろう?と勝手に思った時もありました。穴場でTricker'sなんてどうでしょう?的外してますか?(笑)
Commented by yabushun at 2012-01-04 22:13
セミブローグとフルブローグ、間違えていましたね。(汗)
Commented by kenaoki at 2012-01-06 03:09 x
初めて旧EG製のPealの靴を履いた時は衝撃的でしたね。" これは
スニーカーだ。"と思いましたよ。
個人的にはチャーチに昔のような作風に戻って欲しいのですが、繊細な仕上げをしようと思えば出来るのにあえてdurability優先の" 男靴 "を作って出すところがアングロサクソンのエリートの琴線に触れるのです。BBの服は民主主義の世の中、お金があれば誰でも買えますが、誰にでも似合うというものではありませんでした。着る人間の中身が問われる服だったのです。繰り返しますが、昔の、黄金時代の話です。
Commented by yabushun at 2012-01-06 06:23
EGの履き心地=スニーカー説、なるほどです。
日本のチャーチ愛好家がEGを貶す時にも聞いたりします。(笑)

チャーチがプラダに買収される直前に製造された125周年記念モデルのAlfredがありますが、これ見てると、チャーチの目指していたものは最後までEGとは位相が違ったんだなと思ってしまいます。既製靴のあるべき姿に執着したと言うか。

そういう意味でも、やはりチャーチの靴はBBの服と親和性があったのでしょうね。

「着る人間の中身が問われる服」
それ言われると辛いのですが(苦笑)、どういう着こなしを最終的に目指したいのかと問われれば、一番大きなテーマです。
Commented by kenaoki at 2012-01-06 07:01 x
着る人間の中身については棺桶に入るまで向上心を持ち続けるしかないでしょう。自分についての評価は自分でするものではなく、他人がするものなんですから。attitudeとphilosophyの問題で、欧米とは根本的に異なり、平民が何のhesitateもなくclassicまたはtratraditionalと呼ばれる紳士服を着ることが出来る平等な社会においては最も理解されることが難しい本質的な問題であると言えるかと思います。アメリカ人がこうした服て手を出す時は移民後間もない第三世界出身者を除いて、ある種の社会的な決意が要求されるものなのです。こういうことが日本人は政府を代表するような人間でさえ理解出来ていないので いつまで経ってもミソッカス扱いされるのです。
Commented by kenaoki at 2012-01-06 08:14 x
誤字等すいません。ちょっと酔いが。
Commented by yabushun at 2012-01-06 08:52
また、要らんコト書いちゃったかなぁ〜と後悔しつつ・・・

突き詰めると、そこが一番問題になるのです。どうしてここの服着るのかと。
アメリカ人でもなく、アングロサクソンでもなく、そのエスタブリッシュメント勢力にも属さない日本人が何気に着てるのって、本当はヘンだったんですよね。
本質的には「ファッション」でなく「スタイル」だったんですよね。
フランク・ライリー時代の多店舗戦略で、日本にもお店出来ちゃったんで、今、私も着てますが。(笑)
でも、アンダーステイトメントであるべきというWASP的価値観が、一部の日本人の心を捉えたのは確かだと思います。
Commented by kenaoki at 2012-01-06 09:11 x
今は社内の金髪ギャル軍団に囲まれてご機嫌なんですが、こんな男にBBの服を着る資格は ハナから
あるわけがないワケです(笑)。
Commented by yabushun at 2012-01-06 09:14
そんな自虐的なこと言わないで下さい。(笑)
Commented by kenaoki at 2012-01-06 11:57 x
そうですね、一部の日本人(笑)。人種を問わず、国を背負うエリートの意識、精神性にはそれほど大きな違いはないものです。日本の洋服屋もマックス ヴェーバーの" プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 "くらいは読んでないといけないんですが、ネット世代には " とんでもない長文 "ということなんでしょうね。笑わせるぜ。
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