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ブルックスブラザーズ オウンメイクのブレザー
かつてブルックスブラザーズでは、グレードにより三つのブランドがありました。

それは「オウンメイク」「346」「ブルックスゲイト」(以前のユニバーシティー)で、織りネームに「MAKERS」と記された「オウンメイク」が完全自家工場による最高グレードでした。
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      1960年 ロングアイランドシティ工場
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1818年に創立された同社のブレザーの基本スタイルは、1895年に発表され、1918年に変更(それまでは4つ釦であった)以来、ほとんど変わらない「ナンバーワン・モデル」と呼ばれているものです。

この形を日本では俗に「Ⅰ型」と呼ぶのですが、ブルックス信者はあくまで「ナンバーワン・モデル」と呼びましょう!
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         '60年代以前のオウンメイク
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          '80年代のオウンメイク
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              現行品

さて、ブルックスブラザーズのブレザーの特徴をみていくと、まず、ナチュラル・ショルダーであるということですね。

とは言っても、まるっきりパットが入っていないわけではなく、独特なものなのです。

かつてのオウンメイクと現行のものとは、ここのニュアンスがまず違うと言えましょうか。
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メタル釦は正面は三つで、中一つ掛け。ラペルが段返りなので、第一釦は見えません。釦穴は手がかり。

衿やポケットに施されているステッチの幅は、一般に1/4インチとか、5/16インチとか、7ミリ・ステッチといわれるもので、スポーティーな感覚が演出され、クラブジャケット的雰囲気が漂います。

前身頃の下の部分は丸くカットされています。

全体的にストレートなラインなのですが、これは、ブルックスの製品が、あくまで既製服であることに由来すると思われます。

いろいろな体型の人たちに既製の服でフィットさせるため、なるべくウエストを絞らない方が良い、というアメリカ的合理主義なのでしょう。

前身にはダーツが入らず、細腹のない、ゆったりとしたシルエットを麻袋(サック)に見立て、「サック・スーツ」とも呼んだりします。

「オウンメイク」の場合、ドロップ寸(胸囲と胴囲の寸法差)は5インチで、この寸差が小さいほどシルエットはストレートになるわけですが、「346」で6インチ・ドロップ、二つ釦フロント・ダーツ入りモデルの場合7インチ・ドロップ、「ブルックスゲイト」では7インチ・ドロップとなっておりました。

年とって崩れた体型は収入でカバーする、という考えに基づいているのでしょうね。(笑)

袖釦は二つ。袖から一つ目と二つ目までの間隔は、昔のオウンメイクのものは、今の日本販売のものより若干広くとっています。
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       メタル釦の図柄はゴールデンフリース
       米ウォーターバリー社製
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        '60年代以前のオウンメイクの釦
        羊も昔のマークみたいに痩せています。

ところでメタル釦の図柄についてですが、公衆の面前で、ブランドのマークが入ったものを着るのは良くない趣味、という説もございますが、その是非については今回のテーマでないので、またの機会にということで・・・(笑)
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          '80年代のオウンメイク
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              現行品

脇ポケットはパッチ&フラップで、今のものとフラップの角の形が違います。フラップの裏は裏地を使用せず、共布を使っています。
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センターベントは上の方で斜め45度の布地留めのステッチが施されています。これもお約束。
後ろから見たら「1」になってる所が「ナンバー1」の名の由来という説もあります。
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      裏地は秋冬物でも背抜きになっています。
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     '60年代以前のものは背抜きの形が違います。
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袖の裏側はオウンメイク独特のストライプ入りで、アームホールは丁寧に縫い付けられています。

現行のものにはないですが、裏地に肩と脇からプリーツをとった手間がかかったものになってます。

内ポケットも、裏地とは別布をミシンで縫い付けて補強した玉縁です。
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           衿腰のミシンがけ
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アメリカ製なのでユニオン・チケットが縫い付けられていますが、'60年代以前のオウンメイクのそれは、かなり古いタイプです。

素材は、春夏物(ポリエステル・ウール)と秋冬物(梳毛フランネル)の2タイプだったようで、糸になる前の繊維の段階で染めるトップ染めなので、深みのある色合いです。



以上、全てに触れることはでず、古着屋的チェックになってしまった感がありますが、あらためてオウンメイクの特徴を表現するならば、既製服にもかかわらず、着心地に重要な影響を与える部分が手仕事でなされているということでしょう。

現行のブルックスブラザーズのブレザーも、基本的なディテールは昔と同じです。個人的には、せめて「ゴールデンフリース」ラインのブレザーを店頭に揃えておいて欲しいですが・・・

いずれにせよ、90年以上前から変わっていない。にもかかわらず売れるし着れる。まさに「定番」ですね。
by yabushun | 2011-05-13 15:00 | CLOTHING | Comments(25)
Commented by kenaoki at 2011-05-14 09:10 x
力作レポート、誠にお疲れ様でございます。日本で1型とか2型
とかの用語、表現を用いる方で、アメリカン・クラシックもしくは
アメリカン・トラディショナルクロージングの本質を理解されている方
にお目にかかったことがありません。ナチュラル・ショルダーについて
もナチュラル・ショルダーコンストラクションとナチュラル・ショルダー
ルックの違いを理解されている方も少なく、なんでもパッドを取っ払
えばいい、と勘違いされている方がいることは寂しいことです。
Commented by yabushun at 2011-05-14 11:19
労いのお言葉、どうもありがとうございます。(笑)
最近、雑誌とかネット上でブレザーの特集を頻繁に目にし、ヨッシャ書いてやろうやないか、と志は高かったのですが、時間とって書いたにもかかわらず、OMの見分け方みたいになってしまって・・・不覚です。
とは言っても、昔のOMと安い現行品と色々違うよ、とは言いたかったのです。
そもそも型紙が違いますね。

BBJのゴールデンフリース・ラインは多分プラム上海工場製で、せめてこのグレードのブレザーをレギュラー品として置いておいて欲しいのですが、細かいことに拘るなら「パーソナル・オーダー」でカスタムしなさいということなのでしょう。可愛くないです。

ところでBBのHさん(面識はありません)のTwtterをこっそり見てたら、「ケン青木なう」と呟きがあり、おおっ!となりました。(笑)
kenaoki様のBB社番は永久欠番と荒木さんから聞きました。尤も「多分、俺のもそうだ」と仰ってましたが。(笑)
Commented by kenaoki at 2011-05-15 03:37 x
ん~~、どうでしょう(N嶋さん風に)!? 一応 一桁の数字は
3番なんですが... N嶋さんと言えば荒木先輩が立教の後輩ですね。
Commented by yabushun at 2011-05-15 15:40
物真似シリーズですね。(笑)
荒木さんと言えば、FBに「友達」が一人もいませんね。(笑)
先日はお店で漫才のWヤングの話で盛り上がりました。
kenaoki様も駄洒落を連発されると伺いました。(笑)
Commented by kenaoki at 2011-05-17 09:45 x
 えっ!? ワテWヤングはんのどっちかに似てますやろか?
荒木さんはFBされておられるのですか?
 OMのショルダ~は、テーラードナチュラル言いまんのや。
そやから英国の靴とも相性がええんとちゃいまっか?そう言えば
SHUZOはん、堺の御出身でっせ。
Commented by yabushun at 2011-05-17 10:43
いえいえ(笑)大阪に荒木さんが初めて来られた頃。Wヤングの駄洒落漫才に接し、甚く感動されたという話です。FBは登録のみで、今のところヤル気は全く見られませんよ。(笑)

「テーラード・ナチュルラル」まさしくその言葉がピッタリですね。英国靴と言えば、昔、神戸のツィードマスでも、チャーチが如何に味わいあるかと熱弁受けたことがあります。(笑)

shuzoさん、堺のご出身なんですか!これはまた奇遇な!私も悪の巣窟と言われる泉州地方在住です。マニラ保険詐欺事件で世を騒がせた、伝説の阿呆ボンの出身地としても有名(?)な所です。
Commented by kenaoki at 2011-05-17 11:06 x
 関西弁、間違ってたら直してください《笑》。ツイードマスさん、
一本太い筋の通った名店ですね。でも最初に名前を聞いた時、
ついででおま、って聞こえて思わず、へっ!? となってしまいました。
Commented by yabushun at 2011-05-17 11:46
私は駄洒落を言われる方を凄いなぁ〜と尊敬してしまう人間なのですが、駄洒落製造の秘密の一端がわかりました。まず言葉を「空耳アワー」的に聴くワケですね!
Commented by shuzo at 2011-05-17 20:10 x
yabushun様こんばんは。
いや~そうなんですよ。自分堺市出身ですわ。仁徳天皇陵のすぐ近くに住んどりまして。それが最近なぜかFB上で公になりまして(´∀`)そういえばツイードマスってまだあるんですか?kenaoki さんづてに店の存在だけは知っていたんですが、なんせここ10年関西に帰ってないもんで僕にとっては想像のみの憧れの名店なんです。三ノ宮ですよね。(20年以上前に三ノ宮で働いてたことあるけどその頃はツイードマスの存在を知るよしもなく…)今年辺り久しぶりに関西帰りたいですな~しかし(;´д`)
Commented by yabushun at 2011-05-17 21:23
shuzo様、同じ泉州とはいえ、ちょっと上品な所に住んでられたのですね。(笑)良い所ですね!仁徳天皇陵と言えば、近くにある重要文化財指定の高林家の写真を何度も撮りに行きました。

ツィードマスを初めて知ったのは30年以上前、おそらく今の場所に移転してきた頃だと思います。最初は大阪にあったようですよ。そんなに頻繁に行ったわけではないのですが、BBがマークス&スペンサー傘下になり、如何に駄目になりつつあるかという嘆きを聞かされた経験があります。スーツはBBのOMの38SHTサイズを分解して再現しているので、少なくとも38SHTに関しては完璧、という噂を聞いたことがあります。(笑)
私も最近行ってないで、まだあるか自信ないのです。(笑)
近くにある「いくたロード」沿いの「もん」という老舗トンカツ屋が美味いので、ツィードマスに行くついでに是非寄ってみて下さい。もうとっくにご存知かな?
Commented by shuzo at 2011-05-17 23:04 x
yabushun再びこんばんは。
そうですね。泉州でももう少し南にいくと『おう!!よう来たのーわれー!!』(by河内のオッサンの歌(´∀`))の世界ですが…まあ高校が北信太にあったのでほぼそんなノリでしたが(;´д`)
ツイードマス元は大阪だったですか…知らんかったです。三宮のあの高架下の店は十数年まえブラブラしたことがあったんですが、チラ見して、どの店も個性的だったので興味津々だったけれども、他に用事があったので華麗にスルーしてしまったのですね(´∀`)。そのトンカツ屋さんも知らないです。教えていただきありがとうございます。今度帰る機会には寄ってみます。
Commented by yabushun at 2011-05-18 00:31
ツィードマスは間口が狭く、店の前を歩いていて一瞬まばたきしたら通り過ぎてしまいます。また「てなもんや三度笠」の財津一郎の物真似で、ズンタッタ〜ズンタッタと調子に乗って店に入って行くと、すぐ店の外の道路に出ちゃう奥行きです。(笑)

元町〜三宮〜神戸の高架下は10代前半によく行きました。ガイドブック代わりにしたのはananでした。小学校の頃から姉(実在しませんが)に頼まれたフリして買ってました。余談ですが、中学生の頃はハイファッションや、「傷だらけの天使」の影響で、メンクラよりもdansen(男子専科)をチェックしてました。(笑)
Commented by yama at 2012-06-16 16:17 x
はじめまして。ブルックスについていろいろ調べているとこちらのページにたどり着きました!一つお聞きしたいのですがブルックスのサックスーツ?と呼ばれている1型のブレザーはウエストダーツや細腹のパーツはない作りなのですか?前身頃と後ろ身頃の2パーツで身頃は構成されているのですか?以前お店で見たときは細腹があった気がしたのですが昔のものはなかったのでしょうか?またダブルのブレザーも作られているようですがそちらも同じ作りなのでしょうか?
Commented by yabushun at 2012-06-16 22:41
yama様、初めまして。
BBの有名なナンバー・ワン・モデルに限っていうと、今も昔も、細腹がなくダーツも入っていません。
前後身頃はそれぞれ左右ありますので、4パーツ構成ということになりますね。
基本的な特徴については本文に書いたつもりなので、今一度、目をお通し下さい。
BBにはナンバー・ワン・モデル以外のモデルもある、ということです。
ダブルブレステッドに関しては、昔あったタイプのものは、現在ないですね。
Commented at 2012-06-17 03:44 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by yabushun at 2012-06-17 10:20
kenaoki様
「かつてのオウンメイクと現行のものとは、ここのニュアンスがまず違う」という控えめな表現で(笑)、この時点では指摘をしたつもりだったのです。
Commented by kenaoki at 2012-06-17 12:35 x
No.1モデルをビジネスとしてどれだけの数量やるかということとは別に、エルメスが現在でも鞍の職人を抱えて鞍を注文で作り続けているように、OMの服作りはアメリカの文化遺産だったと思うのですが、もし日本の企業の手で再表現出来るのであれば、それは素晴らしいことだと思うのですが。昔のOM工場で働いていた熟練工がまだ生きている今が最後のチャンスなんです。彼らが納得、いや俺らよりが作ったものよりいい、と言わせたい。
Commented by yabushun at 2012-06-18 01:34
歴史を語りながら中途半端な復刻版しか作らない、作れないのは、歴史が断絶しているか、本気度が希薄からだと思っています。
敬意を払わせ、忠誠を誓わせるぐらいであって欲しいのですが。

こうなれば、kenaoki様が完全復刻をするしかないのではと思い、僭越ながらブランド名を考えております。
ズバリ、KEN COLLECTION!
ん〜、どっかで聞いたような・・・(笑)
Commented by kenaoki at 2012-06-18 02:21 x
確かにどこかで聞いたような? :) 今 マスマーケット対象のヨーロッパの老舗有名ブランドも、元々は極僅かな貴族のloyal clients(
何があってもこの店でしか買い物をしない、つまり顧客が店を育てようとする意気込みと強い意思、意志がある。)によって育てられ、
ビジネスの規模の拡大と共に客層も階級が下がって来ました(こういう書き方を嫌がる日本人は多いと思いますが)。老舗と呼ばれるようなブランドの場合、レーゾンデートルに関わるような商品についてはやはり徹底してやらないといけないと思います。まずノーと言わずにやってみることでしょうかね。既製品ではなくて、値段は高くなるにしてもカスタムで対応する手もあるわけですし。
Commented by OB at 2012-11-23 20:49 x
古いブルックスのジャケットのことを調べていて偶然こちらにたどり着きました。
60年代のブルックスのブレザーはステッチはどのような箇所にはいっているのでしょうか? 気になる箇所は、肩線、袖の外側、背中心、細腹脇です。

私は60年代ではスーツの上着はのオウンメイクは所有しています。
Commented by yabushun at 2012-11-23 21:50
OB様、初めまして。
私が持っている60年代OMのブレザーのステッチは、現行品(ダイドー中国工場製)と全く同じです。
すなわち、肩線、袖の外側、背中心、(細腹ありませんが)細腹脇、全て入っておりません。
但し、生地や作りは、全く別物です。
古いBBのOMには、魂みたいのものが宿っていますね。(笑)
Commented by OB at 2012-11-23 22:53 x
詳しく教えていただきありがとうございます。
オウンメイクにこだわらず60年代くらいのジャケットなどを探してますが、
なかなかみつかりませんね。
でも、カッコいいですよね。
Commented by yabushun at 2012-11-24 00:11
BBって、基本的に、オッサン臭いと思うのです。(笑)
それがカッコ良いのですがね。(笑)

また、ブレザーやポロカラーシャツ(BDシャツ)、ポロコートもそうなんですが、ドレッシーな感じとスポーティーな感じの境界の、微妙な所を突いたアイテムが、代表作にもなっているんですよね。

私としては、この辺を是非、噛み締めて頂きたいと思っております。(笑)
Commented by OB at 2012-11-24 00:50 x
私、30代ですが、ようやくこの感じのカッコよさが分かり始めました。
もともと60年代の音楽や映画、洋服は好きなのですが、
洋服はイギリスの方に夢中だったので。
これからもいろいろと教えてください。
Commented by yabushun at 2012-11-24 10:18
OB様、私も音楽、映画、洋服、大好きです。

映画に関しては、昔観たものを、最近のデジタル・リマスターされたもので見直すと、以前は気付かなかったディテール部分に、ハッとする時がありますね。
VHSビデオが普及し出した時も、画期的だと思ったのですが。
何せ、ブルーフィルム世代なもので。(笑)

スミマセン、何か脱線しつつあるのですが、要は、映画には手本が沢山あるというコトを言いたいのだと思います。

お教え出来るほどの、私、中味はないんですが(笑)、今後とも宜しくお願い致します。
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